近年,大型機械加工において少量多品種生産品の需要が高まっており,柔軟な対応が求められます.
そこで運用コストが高く大量生産向きな工作機械に変わり,産業用ロボットを機械加工に適用する動きがあります.
しかし産業用ロボットは動作の再現性を意味する繰り返し位置決め精度は保証されていますが,数値的な動作指令である絶対位置決め精度は保証されていません.
そのため産業用ロボットを機械加工に用いるには,絶対位置決め精度の不足による座標系の非線形な歪みをキャリブレーションにより補正する必要があります.
工作機械 産業用ロボット
本研究では,産業用ロボットの持つ非線形な固有の座標系を認識し,線形な座標系に正すための補正を適用した工具経路の生成を目的としています.
*測定方法
まず産業用ロボット先端の位置・姿勢を3次元空間で測定する必要があります.
そこで本研究では,安価かつ簡易的に利用可能なセンサとしてカメラとARマーカを用います.
AR(拡張現実感)は現実空間にバーチャルの情報を合わせる技術であり,スマホゲーム等の様々なサービスに利用されています.
そのうち現実空間のマーカの位置を検出する機能を利用し,マーカの位置から逆算してカメラを取り付けたロボットの位置・姿勢を取得する.
ARマーカの検出 1)
*補正方法
産業用ロボットを直線上に動作させたときが誤差なく位置決めできる十分短い距離"a"を設定します.
この"a"をピッチとして測定することで補正時に測定経路全体で精度を守ります.
長さ a
測定された各点での位置決め誤差をもとに補正経路を生成します.
工具経路全体で補正を行うため,作業空間内であればどこであっても位置決め精度を向上させることができます.
補正方法
参考サイト
1)
http://www.hitl.washington.edu/artoolkit